昨今、「クレイ(粘土)」がスキンケアに使われることも多く、めずらしくなくなってきました。
しかし「工作用粘土がスキンケアに使われている?」や「泥と何が違うの?」と思っている方もいるかと思います。
加えて、クレイと似た性質を持つものの、厳密にはクレイではない成分も存在します。
これらはクレイと同じような吸着力やテクスチャを持ち、スキンケア製品に応用されることがあります。
本記事では、同じ粘土と呼ばれているにも関わらず成分的には関係のない「工作用粘土」、クレイではないもののクレイのようにスキンケアに活用される「ピート」「火山灰」「タルク」について解説します。
工作用粘土とスキンケア用のクレイとの違い
工作用粘土はスキンケアには使われることはなく、クレイとは全く別のものです。
しかし名前の類似性から混同されることが多いです。
工作用粘土には鉱物としての粘土(クレイ)は含まれていません。
泥とスキンケア用のクレイの違い
泥はクレイを含む鉱物と有機物の混合物です。
つまり無数の成分を含むため、肌や体にも有害であったり、安定した効能が発揮できないというリスクがあるため、混合物の泥はスキンケアで使われることはありません。
泥とクレイの違いについて、後日リンク
クレイとクレイ以外の類似成分の違い
クレイとは、天然の鉱物の中で最も粒子が細かく唯一粒子が結晶化しているものを指します。
具体的にはモンモリロナイト、カオリンなどが代表例です。
結晶構造の特性により、優れた吸着力や保湿力を発揮します。
これに対し、クレイの定義である①最も細かい粒子 ②結晶化の条件を達成していない成分のものはクレイではありません。しかし似た使用感を持つことからスキンケア製品に取り入れられることがあります。
以下のような成分はクレイではありませんが、似た使用感を持つことからスキンケア製品に取り入れられることがあります。
クレイとは異なる3つの成分
ピート(泥炭)
ピートは植物が長い時間をかけて分解・堆積してできた有機物の層で、泥状の質感を持っています。
主に湿地帯で形成され、フミン酸やミネラルを多く含むのが特徴です。
火山灰
火山灰は火山の噴火によって生じる極めて微細な鉱物粒子で、主に二酸化ケイ素を豊富に含みます。
火山灰の一種である「シラスバルーン」は、火山ガラスが発泡してできた超軽量の微細粒子であり、多孔質構造を持つため吸油性に優れています。
タルク
タルクはクレイのカテゴリーに入ることもありますが、クレイの定義よりも若干粒子が大きいため、(タルク=45μmほど、クレイの定義=5μm以下)定義からは外れます。
ファンデーションやボディパウダーに活用されます。
まとめ
スキンケアに使われる「クレイ」と混同されがちですが、実はまったく成分が異なる「工作用の粘土」は、肌に使用することはできません。
また、クレイに似た性質を持つものとして「ピート」や「火山灰」などがありますが、これらはそれぞれ異なる特徴を持ちながら、スキンケアの分野で応用されることもあります。
製品選びの際には成分の特性を理解し、自分の肌に合ったものを選ぶことが重要です。
クレイの研究・開発を行う粘土科学研究所では、こうした類似成分の特性も考慮しながら、最適なクレイ製品の開発に取り組み、今後もスキンケアの可能性を広げるための研究を続けていきます。