スキンケアに使われるクレイ(粘土)にはさまざまな種類があり、粘土科学研究所が注目しているのは国産のモンモリロナイトですが、数あるクレイの中でも変わった形をしているパルゴルスカイト(Palygorskite)があります。
一般的な成分クレイは層状構造を持ちますが、パルゴルスカイトは珍しいリボン状の構造を持っています。
この違いがスキンケアにおける特性や使われ方に大きく影響しています。
・ ブランドクレイ:色や産地の名称がつけられ、成分クレイと不純物が混ざったもの
・ 成分クレイ:鉱物学的に単一のクレイ(例:モンモリロナイトやパルゴルスカイト)
ブランドクレイと成分クレイについて、後日リンク
モンモリロナイトと同じ「成分クレイ」であるパルゴルスカイトにはどんな特徴があるのでしょうか。
パルゴルスカイトの特徴
構造的な違い
パルゴルスカイトは、他のクレイが板状なのに対し、繊維状(リボン状)の形をした粘土鉱物です。
主な特性は以下の通りです。
・ 吸着力が高い(繊維状構造による)
・ 水との親和性があるが、内部に水を保持する能力は低い
・ 多孔質で、比表面積が広い
この構造の違いに加え、肌への働きも異なります。
モンモリロナイトが保湿に優れるのに対し、パルゴルスカイトは皮脂吸着や洗浄力に優れています。
スキンケア製品への応用
パルゴルスカイトは、主に皮脂吸着や洗浄用途で利用されることが多いです。
以下にモンモリロナイトとの違いを表にしてみました。
特性 | モンモリロナイト | パルゴルスカイト |
構造 | 層状 | 繊維状(リボン状) |
吸着力 | 高い | 非常に高い |
保湿力 | 高い(内部に水を保持) | 低い |
スキンケア用途 | 保湿クリーム、フェイスパック | 洗顔料、クレイマスク |
パルゴルスカイトがあまり採用されない理由
パルゴルスカイトはスキンケアに使われることは少なく、クレイスキンケアの成分にもパルゴルスカイトが書いてあることはごくまれです。
パルゴルスカイトがあまり使われない理由は以下であると推察されます。
・ 保水力が低い → 保湿系スキンケアには不向き
・ 分散性が低い → 水やオイルに均一に混ざりにくい
・ 市場での認知度が低い → モンモリロナイトやカオリンほどの実績がない
・ 処方の難しさ → 吸着力が強すぎると、肌が乾燥しやすくなる
まとめ
パルゴルスカイトは市場で使われることは極まれですが、そのほかのクレイとの構造の違いから今回紹介させていただきました。
スキンケアの成分として明記はないことが多いですが、ブランドクレイに構成されることがあり、実は私たちも微量ではありますが触れているかもしれません。
パルゴルスカイトは、現状ではスキンケア市場での普及が限定的ですが、その特性を活かした製品開発の可能性は十分にあると考えられます。
粘土科学研究所では、こうしたクレイの特性を活かしながら、OEM製造を通じて最適なスキンケア製品の開発をサポートしています。
クレイの特性に基づいた製品開発に関心のある方は、ぜひご相談ください。